卒業論文のテーマの選び方と調査方法

卒業論文のテーマが決まらない

 
大学生活の学びの集大成でもある卒業論文ですが、なかなかテーマが決まらない人も多いのではないでしょうか。
卒業論文を書かないと卒業できないということだと、テーマ決めも重要になってきます。
また、卒業論文は就職活動での面接で質問をされたり、逆に自信があれば自分からアピールすることもできるでしょう。
しかし、卒業論文は誰でも初めての経験で分からないことの方が多く、上手く研究を進められるのか、無事に終わるのか、不安な人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな「卒業論文のテーマの決め方と調査方法」について解説していきます。

卒業論文のテーマの決め方

①卒業論文はオリジナリティを大事に

卒業論文では、まだ明らかにされていないことを研究することに意義を見出す必要があるため、オリジナリティはとても重要です。
既に研究されていることを改めて書いても、面白いものは書けません。
そのためにも、1度興味のあるテーマの先行研究を調べてみてください。
先行研究がないことは、文献だけで論文を書こうとしている人には厳しいかもしれません。
しかし、逆にまだ明らかにされていないことが多くあるということは、研究の意義が見出しやすいということです。
まだ研究されていなかったことを、自分が初めて研究して明らかにするって、第一発見者みたいでうきうきしませんか?
先行研究がある程度は存在するが、まだ全部がやりつくされてはいないものをテーマにすると、良い論文が書けそうです。

②ワクワクする内容か

テーマが自分にとって興味がある内容であることは、当たり前のようで、とても重要なことです。
普段のレポートとは違い、文字数も多く、より深い研究を行うため、卒業論文と向き合う時間はかなり大きくなります。
その時に全然興味がないテーマにしてしまうと、後からしんどくなってしまうでしょう。
大変でも自分の興味のあることだったら、少しは楽しみながら研究を進めることが出来ます。
また、関心のある分野の研究をすることで、自分の知識が莫大に増えて、強みに変えることもできます。

➂当たり前なことに疑問を持ってみる

どうしても興味のある分野が見つからない、特に関心があることがなくて困っている、という人は、1度「当たり前」になっていることに疑問を探してみてください。
例えば、「なんで田舎より都会が良いという風潮があるのだろう」「なんで人はパートナーをつくりたがるのだろう」「なんで国によって言語が違うのだろう」などなど、、、
このように、当たり前になっているけど、よく考えたら不思議なことを挙げてみると、そこでもう疑問が浮かんできます。
その疑問こそ、自分が関心のあることではないでしょうか。
例えば最初の例に挙げた「なんで田舎より都会が良いという風潮があるのだろう」という疑問からは、上京したがる学生に着目して「若者の地域移動について」や、
福岡でもできる芸能活動や音楽活動をより競争率の高い東京でしたがるのかに着目して「夢追い型の職業のキャリア形成の場所について」など、様々なテーマに結びつけることが出来ます。
まだどのような分野に興味関心があるのか分からないという人は、日常生活にある当たり前なことに疑問を持つことを意識しながら過ごしてみてください。

卒業論文の調査方法の紹介

テーマ決めと合わせて考えておきたいのは、どのような調査方法で研究をするのかということです。
研究を進めながら調査方法を考えることも可能ですが、先にある程度見通しを立てながらテーマ決めをすると、その後の研究もスムーズにいきやすいでしょう。
また、ゼミによっては調査方法が決められていることもあります。
事前にゼミの先生に確認してから調査方法を決めることをお勧めします。
ここでは、4つの調査方法を紹介します。

①聞き取り調査

聞き取り調査とは、調査対象者にインタビューを行い、その内容を分析する方法です。インタビュー対象者は1名の場合もあれば、10名以上にインタビューする場合もあります。
流れとしては、①大まかなインタビュー内容の設定 ②仮調査(1度話を聞いてみる)➂インタビュー内容の決定 ④本調査(インタビュー)➄テープ起こし が基本的な流れでしょう。
聞き取り調査のメリットは、自分の疑問点が直接聞けるため、より深いところまで調査ができることです。
また、インタビューを通して予想外の発見と出会えることがあります。
(後は、あまり大きな声では言えませんが、インタビュー内容を本文に取り入れるため、多少の文字数稼ぎにはなります。)
デメリットは、大勢の人へのインタビューが厳しいため、調査結果に普遍性は見いだせないことです。
「こういう傾向がある」ということは言えますが、「こうだったから次のことが言える」と断定することはできません。
そのため聞き取り調査では、如何に調査結果を普遍的に分析し、まとめられるかが重要になってきます。
また、聞き取り調査では、オンラインでのやり取りもコロナ禍で増えてきていますが、直接会って話を聞くことが重要になってくるため、話を聞き出すためのヒアリング力やコミュニケーション能力が求められます。
聞き取り調査の中にも、質問項目を事前に全て決めておく「構造化インタビュー」、質問はある程度決めておくが、臨機応変に変えて質問をしていく「半構造化インタビュー」、
また分析の仕方にも、対象者の人生を追った「ライフヒストリー研究」などと、聞き取り調査の中にも様々な方法が存在します。
聞き取り調査は、先行研究があまりないものや、キャリア形成などの深く話を聞く必要のあるものが適しているでしょう。

②観察調査

 観察調査には、参与観察調査と非参与観察調査があります。
 まず、参与観察調査は、ある集団やイベントに参加して観察する調査です。
参与観察している間は、できる限り詳細な日記をつけて、何をやったか。何を見たか。何を感じたか。このようなことを記録してください。
また写真も撮って記録しておくとよいでしょう。
 次に、非参与観察調査は、ある集団やイベントに自分は参加せずに観察をする調査です。
非参与型調査をしている間は、参与型調査と同じように細かく見たことや感じたことを記録しましょう。
 観察調査のメリットは、事実を明らかにすることが出来ることです。
実際に自分が目で見て、聞いて、感じたことから、事実に即した正確な情報を得ることが出来ます。
 デメリットは、その事実の理由が分かりにくいことです。「なぜそのような行動をしたのか」「なぜその事実が起こったのか」などは観察調査からは分かりません。
そのため、観察調査をする人は、合わせて聞き取り調査も行うと、より精度の高い論文が書けるでしょう。
 観察調査に適しているのは、ボランティア団体や音楽団体などの集団についての研究が適しているでしょう。

➂調査票調査

 調査票調査とは、アンケート調査のことで、複数の人に同じ質問をして、比較できるデータを集める調査です。
先輩の卒業論文で協力したことがある人も少なくないのではないでしょうか。
調査票調査では、クロス集計(2つ以上の質問項目をかけ合わせて集計する方法)を実施することが一般的なので、おおよそ100サンプル以上のデータを入手が理想です。
100サンプルの場合、たとえば集計結果が50%ならおおよそ±10%の誤差が出ます。
調査の流れは、①調査企画 ②調査票の作成 ➂調査の実施 ④データ入力 ➄データ整備 ➅集計 ⑦分析 の流れが基本的です。
 調査票調査のメリットは、少ないコストと時間で、大勢のデータを集められることです。
調査票さえ作れれば、大規模な調査でも一斉に実施することができるため、時間があまりかかりません。
また、データを数値化できるため、説得力のある論文が書けるでしょう。
 デメリットは、正しい情報を収集するためには、調査や統計の知識が必要で、そこを学んで理解してからでないと、正確な調査が出来ず失敗してしまう恐れがあることです。
質問項目や解答の仕方にも様々なパターンがあり、調査したい目的によってそれらを使い分ける必要があります。
また、最低でも100のサンプルがあることが望ましく、調査に協力してくれる人を集めることも大変な場合があります。
大人数の生徒が受講している授業で調査を実施させてもらうことが出来れば、その点は解決できるでしょう。
 調査票調査が適しているのは、価値観や経験を聞くものなど、調査内容が多くの人が答えられる内容のものであれば様々なテーマで実施できます。
例えば、「バンドマンのキャリア形成」について問うには調査票調査は向いていませんが、「バンドマンのイメージ」などを問うには調査票調査を使うと良いでしょう。

④ドキュメント分析

 最後にドキュメント分析は、新聞記事、広告、写真、映画やドラマ、歌詞、絵本などの記録されたドキュメントから調査をする方法です。
ドキュメント分析では、そのドキュメントを過不足なく集めて、分析することが重要になります。
調査の目的は主に、情報を分類することを目的としたドキュメント分析と、時代変化を求めるドキュメント分析があります。
 ドキュメント分析のメリットは、他の調査では明らかにすることが出来ない時代変化を明らかにすることが出来ることです。
また、1つのドキュメントからではなく、新聞や写真、絵など様々な視点から調査を行うことが出来ます。
 デメリットは、関連するドキュメントを全て見る必要があるため、ドキュメントの量が多ければ多いほど大変なことです。
例えば、テレビドラマなどを分析する場合はレンタルビデオでテーマに合致する番組をひたすら視聴する必要があります。
また、その膨大な量のドキュメントの中から、それが真実なのかを見極める必要があります。
ドキュメント分析が適しているのは、歴史や、起源、時代変遷などの調査に適しているでしょう。

卒業論文は早めに取り掛かると良い

いかかでしょうか。少しは卒業論文への不安は消えましたでしょうか。
卒業論文を書く時期は就職活動とかぶってしまうとどちらも並行して取り組むのは大変だと思います。
余裕を持って就職活動をするためにも、早めに取り掛かると良いと思います。
ぜひ今日から、「当たり前のことに疑問を持ってみる」、実践してみて下さい。