文系の就職は理系より不利じゃない!文系の強みを引き出すヒント

文系学生の就職は理系より就職で不利ってほんと?

就職には理系学生が有利で、文系学生が不利だという噂がありますが、実際はどうなんでしょうか?

「文系でも就職はうまくいくの?」と不安を抱える文系学生に向けて、文系と理系の就活の違いや、文系学生を求める業種・業界を見ていきましょう。

文系学生の不安を解消します

就活売り手市場・学生優位の就職活動と言われている昨今ですが、やはり学生にとったら「内定をもらえるだろうか」「就活がうまくいくか」など就活に対する不安がありますよね。第一志望企業に早く内定をもらえて就活を終わらせたいというのが本音だと思います。

「文系学生の就職は理系学生より不利って聞くけど、それってほんと?」と不安になるあなたの不安を解消しましょう。

文系の就職先はある!

結論からいうと、文系学生の就職先はちゃんとあります。選ばなければある、といったネガティブなものではなく、文系の学生を積極的に採用したい企業は多く存在するのです。

文系・理系の区分は、学んでいる内容であって、学生本人が優秀かどうかを判断するものではありません。「将来こういう道に進みたいから文系・理系」と選択して学んでいるものです。

文系か理系かで就職活動が左右されるものではなく、企業側が見るのはあなた自身です。学生時代に頑張ったことや打ち込んだことなど、あなたが一生懸命になれることを経験しておくことが、就職活動では大切になってきます。

次は、就職のしやすさ、有利さに文系・理系が関係ないことをデータからも見ていきましょう。

データを見ると就職率は文系理系関係ないことがわかる

※「2018年卒マイナビ大学生内定率調査」より作成

このグラフは、大学4年生・大学院2年生を対象とした3月~7月の内定取得率を文系・理系別にまとめたものです(「2018年卒マイナビ大学生内定率調査」より作成)。

3月~7月全ての月を通して、文系学生の内定取得率よりも、理系学生の内定取得率の方が10ポイントほど上回っています。就活が始まってすぐは、理系学生は内定を得やすいというのが分かります。

しかし、次のグラフを見てください。

※産経ニュース「大学就職率、過去最高98.0% 7年連続で上昇 文系初めて逆転」より作成

これは、2018年度卒業の大学4年生の4月1日時点の文系・理系別就職率をグラフ化したものです。

産経新聞によると、2018年3月に卒業した大学生の就職率は98.0%(2018年4月1日時点)。

文系・理系別では、文系が98.2%(前年同期比0.9ポイント増)、理系が97.2%(同1.5ポイント減)となっており、理系よりも文系の就職率の方が上回っています。就職活動を終えた大学4年生の4月入社時点での就職率で、文系が理系を上回ったのは調査開始後初とのことですが、このことからわかるのは、必ずしも文系は理系に比べて不利ではないということです。

つまり、早く内定をもらうのは理系学生ですが、最終的な就職率は文系・理系にさほど差はないといえます。

文系と理系では内定をもらうスピードが違うだけで、「文系は就職しにくい」というのは、幻ということがわかります。

では、なぜ文系学生は理系学生に比べて不利だと思い込まれるようになったのでしょうか?

それは、文系と理系の就職活動のやり方に違いがあるからです。

文系と理系の就活の違いを知れば怖くない!

文系就活の特徴

文系学生の就活には、「専攻・所属している学部の研究内容と、志望企業の業務が一致している必要はない」という特徴があります。

法学部卒の学生が必ず弁護士になる必要もなければ、弁護士にしかなれないというわけでもありません。同じように、教育学部卒の学生みんなが教師になるわけではありません。

つまり、文系学生は「携われる仕事の範囲が広い」のです。

また、入社してからはどの企業も新入社員研修を準備しています。入社してからその業種について指導してもらえるのです。特に就きたい仕事の分野の知識がなくとも、入社してから知識を蓄えることができるのです。

文系学生の一般的な就活のやり方

文系の就活は一般的に、履歴書を提出して確認してもらう書類選考、その後筆記試験や、集団面接・個人面接・役員面接などの面接試験へ進んでいくパターンが多いです。

大体3~4回の選考の結果、内定が出ます。

また、職種は総合職・一般職と呼ばれる職種が多いようです。

文系学生は、理系学生のように研究室に籠もって研究成績を出しているわけではないので、製造や研究開発の分野に就職することは難しいことはわかりますね。

理系就活の特徴

一方で理系学生の就活には、「専攻・所属している学部の研究内容と、志望企業の仕事内容が関連していることが多い」という特徴があります。

4年間、または6年間の研究成果が直接就職に繋がることが多い理系では、研究成果を上げることが就活であるといっても過言ではありません。ですので理系学生の就活とは大学4年時に始まるものではなく、ゼミで研究している段階から始まっているんですね。

また、理系の就活は、理系学生向けの合同説明会が別に開催されたり、理系用の筆記試験が実施されたりするなど、「理系学生向け」の選考がある企業が多いようです。

面接内容も研究報告のプレゼンであることが多く、面接回数も1~2回と文系学生に比べて少ないという特徴があります。

理系の就活には、学校推薦という制度がある

理系には、推薦(学校推薦、学部・学科・専攻推薦など)という制度があります。所属する学部・学科、研究室やゼミに向けて、企業が欲しい人材を求めてくる制度です。推薦制度は、一般的な応募に比べてプレゼンや面接などの選考回数が少なく、採用に繋がる確率も高いといわれています。研究に力を入れた理系学生の特権ですね。

文系と理系では就活のやり方が違う!

このように、文系学生と理系学生では、就活の進め方が異なります。

文系学生が理系学生に比べて、夏時点での内定取得率が低いのは、このような理由からだったんですね。

【業界・職種別】文系学生を求める企業とは?

ここからは実際に、文系学生を求める企業の業界・業種について見ていきましょう。

文系に人気の業界とは

・金融業界

金融業界とは、お金のプロフェッショナル。お金に関する様々な分野を取り扱っている業界です。

銀行や保険、証券などの業種がこれに当たります。

金融業界は社会的信用が高いことから、男女問わずいつの時代も人気の業界です。また、信用の高さから、家族も安心させることができるというのも魅力の一つです。

金融業界は、文系の学生が目指しやすい業界です。金融に関する専門的な知識があればそれは便利ですが、選考段階では特に知識や知見を求められることはありません。また研修制度が充実している企業が多いようです。

メディア業界(マスコミ、テレビ、広告)

メディア業界は、いつの時代も人気業界です。華やかな業界のイメージがありますよね。

昨今では、某広告代理店の過重労働が問題視されるなど、過酷な労働状況が報道されています。しかしそのような報道がある中でも、メディア業界を目指す学生は根強くいます。

強い志を持った学生にとっては大変な魅力的な業界なんですね。

昨今では、インターネット・SNSの普及に伴い、メディアもデジタルに乗り出しています。刻々と変化する社会の流れにうまく対応できる、柔軟な人材を必要としています。

狭き門ではありますが、文系・理系の分野にこだわらずあなただけの魅力を発揮できる業界といえます。

旅行業界

旅行業界には、個人向けの航空券・ホテル・パック旅行などのBtoCの分野と、法人向けの出張等をメインとした航空券等の手続きや学校の修学旅行へ向けたビジネスとBtoBの分野があります。

外国人観光客が増加しているいま、語学に優れた文系学生の需要が高まっています。文系学部で学んだ語学力や文化の違いなど、力を発揮できる場面は多くあるでしょう。

また、航空業界や鉄道業界も文系学生向けといえます。文系・理系専門の知識が必須なわけではありませんので、誰でも志望しやすい業界ではあります。

営業・事務以外にもある!文系におすすめの職種

「文系の職種というと、営業や事務しかないんじゃないの?」と思う人もいるかもしれません。確かに、文系は志望できる業界・業種が広いからこそ、何でもまかなえる営業や事務という職種が多いように感じてしまうものです。

ここでは、営業・事務以外の文系学生におすすめの職種紹介していきます。

システムエンジニア

システムエンジニアとは、システムの開発から設計、運用までを手がける職種のことです。というと理系のイメージがありますが、実は文系・理系問わず募集している企業が多い職種です。

プログラミングや、PC系の知識があるにこしたことはありませんが、募集の段階では開かれた門であることが多いです。入社してから勉強して知識をつけていく意欲があり、システムに興味のある文系学生は求められています。

公務員・教員

公務員・教員は文系学生ならではといえるでしょう。教育学部卒でなくとも教員資格を取ることは可能ですし、公務員に向けた勉強も理系学生のように研究に追われない文系学生だからこそできるものです。

しかし、公務員・教員ともに人気職種がゆえ競争率は高いです。目指すならきちんと勉強して臨まないと、思ったとおりにはいかないでしょう。

【学科別】文系ならではの強みをアピールできるスキルは?

幅広い分野を学ぶことができる文系。それぞれの学科別にアピールできる強みを整理してみましょう。

コミュニケーション能力(心理学科)

心理学科で学んだことはどの職種でも役に立つものが多いでしょう。人の特性を分析し、知識として持っているので商談やお客さんとのコミュニケーションに役立ちます。

また、カウンセリングを学んだ学生は、商談においてのヒアリング力として強みになります。相手の話を真摯にきくことができる、相手に話を引き出させることができるというのはビジネスにおいて非常に強い武器です。

情報収集力(経済学科・経営学科)

情報収集力がある経済学科や経営学科の学生は、企画・マーケティングの面で強さを発揮できるでしょう。統計や分析に優れ、情報を正しく読み取れる力があるというのは、企業にとってはメリットです。学生時代に学んだ知識をフル活用し、就活に役立てましょう。

興味や好奇心の幅が広い(社会学科)

社会学とは、研究の分野が広い学問です。社会に関することだったらすべてが研究対象となるので、興味や好奇心を持って学生時代に研究できれば自分の強みとなります。

また、社会情勢を知っていなければ研究にならないので、研究の中で自然と情報処理能力が身に付いたり、市場調査・社会調査のやり方を学ぶことができます。これは、記者などのマスコミ業界にとっては強い武器となりますし、それ以外の業界でも興味や好奇心が豊富なことはプラスになるでしょう。

ここまで、文系の学生に向けて書いてきました。「文系学生は就職しにくいのではないか?」という不安は払拭されたでしょうか?

文系と理系の就活の違いを知っていれば、怖いものはないですよね。

就職活動で本当に見られるのは、卒業大学や卒業学部ではなくあなた自身です。あなた自身をアピールすることが、第一志望入社への最もの近道ですよ。