株式会社千鳥饅頭総本舗

株式会社千鳥饅頭総本舗の会社情報

会社名 株式会社千鳥饅頭総本舗
代表者 代表取締役 原田浩司
所在地 福岡市博多区上呉服町10-1 博多三井ビル1F
事業内容 菓子製造販売
従業員 約270名
公式サイト chidoriya.co.jp

株式会社千鳥饅頭総本舗のポイント3つ

  • 創業400年「千鳥饅頭」「チロリアン」など銘菓を手掛ける老舗菓子屋
  • 世代交代に向けて、若手社員には大きなチャンスが巡って来ている
  • 歴史と伝統を継承しながら、新しい挑戦を続ける社風

創業400年、若手のチャレンジ現場を体験せよ【千鳥饅頭総本舗】

大阪の中心地、梅田。阪急うめだ本店は年間実に5000万人が訪れる日本有数の百貨店です。この関西No.1のデパートに福岡からはるばる出店してきたあるお菓子。九州の銘菓「チロリアン」です。福岡産イチゴのあまおうチロリアン、八女玉露チロリアン、宮崎のマンゴーチロリアンなど九州パラダイスシリーズは今、関西・関東でも人気が盛り上がっている商品です。 今回のカウテレビ企業密着ドキュメントでは、九州銘菓から全国へ、そして世界へと活躍の機会を広げようとしている企業、千鳥饅頭総本舗へ潜入し、そこで働く社員たちの仕事ぶりを取材しました。

 

画期的なお菓子を生み出してきた革新の歴史を持つ千鳥饅頭総本舗

株式会社千鳥饅頭総本舗は、福岡市博多区に本店を持ち、福岡県新宮町に工場を持つ、和洋菓子の製造から販売まで手がける会社です。創業は江戸時代、寛永7年。400年近い歴史を持つ会社です。その歴史は、「お菓子の革新の歴史」でもあります。

千鳥饅頭総本舗が生み出した主なお菓子は、例えば「カステラ」と「丸ボーロ」を掛けあわせたお菓子「千鳥饅頭」や、せんべいを巻いてクリームを詰めた画期的なお菓子として世に出てきた「チロリアン」。さらに「南蛮菓子と博多の饅頭」を掛け合わせたカスタード饅頭「ポルトス」などがあります。

こうした千鳥饅頭の商品開発には、単なるお菓子づくりを超えた「ある想い」が込められています。例えば『九州パラダイス』は、農家の困り事を解消したいという原田社長の想いが産んだ商品だといいます。

原田社長:「傷が入った商品はなかなか販売できない。それを我々が引き取って『お菓子にさせてください』と。そういう経緯でいま、宮崎のJAや福岡市のJAとタイアップして、博多のあまおうや宮崎のマンゴーを引き取ってフリーズドライにしてチロリアンにしています。そうすることで売り物にならない農家の生産物がお金になるわけですから、お互いWin-Winの関係です。」

JAや福岡市・宋部長:「『チロリアン♪』という音楽のCMは昔から耳についてますけど、そういう会社とタイアップできて、1つの商品ができて、あまおうの新たな魅力が、お菓子になることでみんなから認知されるということは、農家のみなさんも喜んでいます。」

さらに最近では、お菓子を使った企業ブランディングのサービスとして、オーダーメイドの刻印が押せる千鳥饅頭や、企業ロゴの入ったチロリアンのパッケージなども提供しています。このように、400年近い伝統の一面と今までなかったお菓子を生み出し続けてきた革新の一面の両方がある企業。それが、千鳥饅頭総本舗の特徴です。

福岡県人ならみんな知っている”チロリアン”仕掛け人の営業に迫る 

大阪の中心地・梅田。「阪急うめだ本店」は、年間5000万人が訪れる日本有数の百貨店です。この関西ナンバーワンのデパートに福岡からはるばる出店してきたのが千鳥饅頭総本舗の銘菓、チロリアンです。その出店の仕掛け人が敏腕営業マン・井上さんです。

福岡産いちごの『あまおうチロリアン』、『八女玉露チロリアン』、宮﨑の『マンゴーチロリアン』など、『九州パラダイスシリーズ』は今、関西や関東でも人気が盛り上がっている商品です。

井上さん:「最初は売れなくても、お互いに頑張って知恵を出して工夫をして、商品を育てていく。それが一番嬉しいし、やりがいも感じます。」

一方、福岡空港の中にあるお土産コーナーにも千鳥饅頭総本舗の商品が並んでいます。こちらは第二営業部のベテラン・山田部長と塩月係長です。空港や高速道路のパーキングなど、お土産コーナーに商品を置いてもらう担当です。

福岡空港商事・高岡販売部長:「『千鳥饅頭』と言っただけで福岡のお土産だと分かる。そこは千鳥饅頭さんのブランド力だと思いますね。」

山田部長:「空港や駅など色んなところに出店させていただいて、千鳥屋のお菓子の美味しさを広げていきたいなと思っています。」

銘菓を支えるお菓子のスペシャリストたち

千鳥饅頭総本舗には、お菓子のスペシャリストと呼ばれる職人が大勢います。

まず、”丸ボーロのスペシャリスト”城丸さん。

金属の筒を使って、半・液状の生地からマルボーロをくり抜いていきます。注目はこの角度。絶妙に手首の角度を調整しながら、寸分違わぬマルボーロが生み出されていきます。

城丸さん:「生地が薄い面があったら、生地をくり抜く用の筒を角度を少し斜めにして深く入れる。分厚い面は上から落とす。それで大きさを均一にして調整しています。」

次に、”あんこのスペシャリスト”森永さん。

森永さん:「まずあんこの元になる小豆を噛むんですよ。カリッと音が鳴ったら、水分が少ないという証。その小豆の水分量によって炊く時間を変える。」

続いて、”バウムクーヘンの作り手”市場めぐみさんです。なんと、12本のバウムクーヘンを同時に作っています。

市場さん:「中のすでに焼いている生地と、層を作るために新たに足した生地を入れて、上手く混ざっていないと膨らみが足りないんですよ。」

次に、”千鳥饅頭の皮をつくるスペシャリスト”上村さん。

上村さん:「日々の湿度や温度の環境によっては卵300個に対して、卵1~2個プラスしたりマイナスしたりして、常に同じような状態にもっていく。」

続いて、”紅白饅頭のスペシャリスト”この道ひとすじ半世紀の重さん。この薯蕷(じょうよ)饅頭の原料は、粘り気の強い山芋。普通の菓子職人だと手にくっつきます。ところが不思議なことに重さんだと手にくっつきません。

重さん:「長時間持っているとドロドロと溶けてしまう。だからできるだけ早く、熱が伝わらないうちに作ってしまう。こういう技術は『速くてキレイ』が基本じゃないかなと。

千鳥屋春日惣利店。ここにもスペシャリストがいます。高速ラッピングが自慢の店長、牟田さんです。牟田さんは、お客様1人1人の年齢や表情に気を配りながら、何を期待されているのか『気持ちに寄り添う接客』を心がけているといいます。

牟田さん:「急いでいる方の足の動きとか、迷っている人など全く違いますので、そこを瞬時に見極めて。一人ひとりお客様が違うように一人ひとり接客も変えていくのが販売員かなと。」

20代でこの店の立ち上げを任された牟田店長、若くしての抜擢に、最初はプレッシャーもあったそうですが、周囲の仲間に支えられて今があると語ります。

牟田さん:「最初の頃はすごく悩んで、どうやればいいか分からなかったんですけど、販売員同士を助け合えたり、お客様の方から元気をもらえる。『あなたがいるから、ここに来たのよ』と言われた時に、やっててよかったなと思います。」

「自分の会社のお菓子を子どもにも食べさせてあげたい」~働きながら子育てができる環境

はたらくママが多いのも同社の特徴の1つ。子育てと仕事を両立できるよう、育児休暇などの制度も整っています。育児休暇から復帰した元村さん。千鳥饅頭総本舗のはたらくママへの支援についてこう語ります。

元村さん:「昔、店長が子どもを連れてプライベートで来ていて、微笑ましいなと思っていました。自分の職場のお菓子を自分の子どもにも食べさせてあげたいなというのはありますね。」

製造・商売の面白さが開発に繋がる~開発現場に密着

チロリアンの開発を担当している松尾さんは製造や管理の部門を経て、この開発に着任しました。この日は、販売中のマンゴーチロリアンの味をさらに美味しくしようと風味の調整をしているようです。松尾さん:「社長がいつも『試作は遊びなさい』と言っているんです。楽しいです。」

>松尾さんがマンゴーチロリアンの開発に費やした期間は、なんと3年。自分の子どもを育てるような気持ちで商品づくりに向き合っていると言います。

松尾さん:「『これは俺が作ったんだ』という自身を持ってお客様に食べてもらえる喜びが一番ですね。マンゴーチロリアンは3年かけて作り上げた自分の子どものようなところもあり、こういう仕事に携われて幸せだなと思っています。」

原田社長に社員の育成方針を伺うと、製造・販売・企画・営業などの各部門でジョブローテーションを経験した上で、新商品の開発に挑んでもらいたいと語ります。

原田社長:「現状、新商品の開発やネーミングはほとんど私がやっています。私も昔はずっと菓子職人としてやってきましたので。新しい世代に新商品の開発やネーミングなどを考えてくれる人が出てこないと、千鳥屋の将来はありませんので、ぜひ若い人たちにやってもらいたい。でもそのためにはお菓子のイロハを知ってもらわないといけませんので、製造の基本を勉強して頂いて、千鳥屋の直営店に立って商売の面白さも学んで頂いて…。そしてその後は外商部で全国の百貨店や駅、空港の担当者と交渉して勉強してもらって。それを通してクリエイティブな才能を持っている方には売れる、喜ばれるお菓子の開発を全て任せたいと思います。」

九州の銘菓を、全国へ、そして世界へ。今、千鳥饅頭総本舗が求める人物像とは。そして、描く未来像とは。

原田社長:「お菓子が好きで、真面目な方に来て頂きたいですね。製造に関しては世界最高品質の商品を作れる土壌・環境があるので。まずは、九州各店に直営店を置く、それが第一ですね。そして全国のご当地チロリアンを南から辿って、最終地点は北海道。北海道チロリアンを作った後は、東南アジアへ進出しようと考えています。」