毎年多く寄せられる就活生の悩み。そのトップに君臨するのが「エントリーシートが書けない」という相談です。筆が止まる苦しみは誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。今回はESが書けない理由を紐解きながら、それぞれの解決策について考えていきたいと思います。
まず、エントリーシートが書けないと悩む学生の原因は大きく3つに分類できます。
①志望動機が思い浮かばない(志望度がそもそも低い)
②書けるネタが無い(と思い込んでいる)
③書き方が分からない
今回は特に「①志望動機が思い浮かばない(志望度がそもそも低い)」について解説します。
志望理由を伝えるためのESのはずなのに、志望動機が書けないというジレンマに悩む学生は意外と多いものです。企業のネームバリューだけで選んだ、周りから薦められたからエントリーした、企業研究がまだ浅いなど、様々な理由があります。その中で、「何故か分からないけど惹かれる」を上手く表現できないという人も少なくありません。志望動機の小さな種が漠然とでも自分の中にある人は、その根本的な原因である「自分と企業の紐づけの弱さ」を改善することで、説得力のあるESに仕上げることができます。
「何故か分からないけど惹かれる」、の「何故」をしつこく掘り下げて言語化することで少し道が拓けていきます。例えば、野球選手になりたいという夢を持っていたとします。「野球が好きだから野球選手を選びました」だと、「ふーん」と3秒で終わってしまいます。この「野球選手」という夢、「野球が好きという気持ち」を掘り下げていくのです。野球選手を目指す少年はたくさんいても、なりたい理由は人によって違いますよね。野球が好き、世界で活躍できる有名人になりたい、人に勇気を与えたい、お金を10億稼ぎたい・・・。「なぜ野球選手になりたいのか」、をしっかり掘り下げていくとあなたなりの理由が見えてきます。それをあなたらしい文章にしましょう。
エントリーシートの志望動機の話に戻ります。「この会社に入りたい!」という小さな好き、小さな興味を流さずに、掘り下げてみるのです。
「〇〇会社に入りたい→何故入りたいのか?→〇〇会社の△△が好きだから→なぜ△△が好きなのか→小さい頃✕✕が原体験となり、〇〇に喜びを感じる自分に気付いたから、同じような原体験が大学生の時に無かったか?・・・」
人間は生まれたときから断続的に今の自分に繋がっているので、昔の体験でも形を変えて直近に再現されていたり、ふとした時に同じ状況になっていたりするものです。その一貫性も「なぜなぜスコップ」で過去・現在・未来の3軸で掘り下げていきます。
自分の奥深くに自分でも気付いていなかった「理由」に気付けた後は、企業研究で見えてきた企業の要素との共通点、好きな所と紐づけながら書いていきます。(大前提として、自分の想いとの共通点やエピソードとの関連性を見つけるためにも、企業のミッションや誰にどんな商品・サービスを提供して社会貢献している会社なのか等、企業研究は重要です。)
誰もが手に入るネット上の情報だけでなく、インターンシップで得る情報やOB訪問で得る情報、採用担当者への質問など、足で稼いだあなただから得られた情報を集めることも、採用担当者に刺さるESに仕上げる上で望ましいですね。
また、この掘り下げ作業は一人で悶々と行うことは限界があるので、家族や就活生仲間、大学の先生など、周りの力を借りて1対1で質問し合っていくことをお勧めします。
いかがだったでしょうか。「なんとなく好き」「〇〇が好きだからこの会社」と漠然としたまま書いたESは埋もれてしまいがちです。
あなただけの理由を、なぜなぜスコップで見つける作業を記入前に行ってみてください。
採用担当に「だからうちの会社なんだね」と説得力のあるESを目指しましょう。