会社名 | 株式会社ムロオ |
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代表者 | 代表取締役社長 山下 俊一郎 |
所在地 | 広島県呉市中央1丁目6番9号 |
事業内容 | 自動車運送事業、特別積合せ運送事業など |
従業員 | 5000名 |
公式サイト | muroo.co.jp |
広島の生カキは、かつては地元の人か観光客しか食べることのできない希少品でした。それが今では、全国どこででも美味しい生カキを食べられるようになったその背景には全国に張り巡らされた生鮮食品を運ぶ物流網。いわゆるチルド輸送のネットワークの存在があります。その立役者が株式会社ムロオ。あのペンギンマークでおなじみの物流企業です。
株式会社ムロオは、広島県呉市に本社を置く、食品に特化した総合食品物流企業です。北は北海道から南は九州宮崎まで、全国80箇所に拠点を置く、国内最大のチルド物流のネットワークが特長です。年商591億、従業員数5600名、全国のスーパーやコンビニに並ぶ日々の生鮮食品を日本列島の隅々にまで届けている会社です。
山下社長:「北海道から九州までどのスーパーに行っても我々が関わっている商品があります。365日毎日いかに止めずにサービスを提供することができるかが我々の存在意義です。」
ムロオの歴史は、昭和50年に始まりました。創業者の山下俊夫氏が、広島が誇る名産品の「生ガキ」を全国に届けようと、冷蔵トラックによる物流網を構築していったのが最初のきっかけでした。その後、カキで作った物流網に他の生鮮品や加工食品を乗せていく形で事業を発展させていったのです。
ムロオ福岡支店の物流センター。この倉庫でオペレーターを務めている小野田さんの仕事は、全国から福岡に集められた商品を行き先ごとにドライバーに託す、いわば商品の交通整理です。
小野田さん:「ドライバーさんが伝票を見て積む時に『2個口』『1個口』と書いていれば分かりやすいですよね。」
小野田さんが扱う商品は、全国津々浦々のスーパーやコンビニに並んでいます。小野田さんいわく、国民の食生活を支えている、そんな実感が得られる仕事だといいます。
小野田さん:「前まではイオンとかスーパーに行った時にお菓子売り場にまず行っていましたが、最近はすぐ野菜や魚コーナーにまず行くようになりました。そして『これ会社の倉庫で見たよ』と友達に言ったり…。うれしいですね。」
ムロオの仕事は、単にモノを届けるだけでなく、全国の食品メーカーの商品を他の地域へ広める役割もあるといいます。福岡県で生まれた八洋食品の餃子も、ムロオが全国に届けています。
八洋食品の秦工場長はムロオの仕事についてこう語ります。
秦さん:「食品は温度帯や輸送時間が大事なポイントになります。安心・安全な商品を届けるのが八洋食品の使命であり、ムロオさんの使命でもありますよね。同じ使命のもと協力してやってもらっていますね。」
物流に必須な、大型トラックのドライバーである桜井さんは入社10年目の社員です。
桜井さん:「物流の仕事を例えるとしたら、”国の血液”でしょうね。雪で通行止めになって何日も物流が止まると、スーパーに商品が並ばないわけですよ。」
実は桜井さん、入社当初は物流倉庫でオペレーターを務めていましたが、次第に大型トラックを自由自在に操るドライバーの仕事に興味が湧き、転身を希望したそうです。
桜井さん:「最初は庫内オペレーターをずっと続けて責任者にでもなるんだと思っていたけど、大型トラック見ていたら憧れて、『自分も大型トラックを動かしたい』と思い、免許を取得しました。ドライバーの仕事をするようになったらまた世界が広がって、楽しくなりました。」
倉庫に集まってきた商品を自分のトラックに積み込むのもドライバーの仕事です。
桜井さん:「食品流通は不景気にも強くて、安定して仕事もあるし、収入も得られる。人と触れ合うので『接客業』の一面もあると思うんですよ。単純そうに見えて奥が深いですね。まだまだ知らないことが多いです。」
ムロオには入社3年を過ぎると、誰でも管理職に挑戦できる制度があります。
永井さんも、昇格試験に合格して主任に昇格した1人。30歳の若さで140名以上の部下を抱えています。
元々は、人前に立つのが得意ではなかったという永井さん。先ほどのドライバー桜井さんと同じく先輩の仕事ぶりに憧れてリーダーを目指したといいます。後輩にとって憧れる先輩が多いというのも、永く働ける会社の共通点のようです。
永井さん:「所長や上司が意向を汲んでくれて挑戦する場を与えてくれたので、自分も教えられる人になれたらなと。そこに挑戦してみたいと思いました。」
山下社長:「積極的・前向きにやる社員に、どんどん仕事を任せていく社風になっているなあと。早くて20代で現場の責任者になったり、部門長になったりすることもあります。」
ムロオの社員の特徴の1つに、多様性。つまり、さまざまなキャリアを持つ人が大勢いることが挙げられます。
原田さんの前職はIT企業でシステムエンジニアをしていたといいます。机でじっとするのではなく、体を動かす仕事がしたいとムロオの門を叩いたといいます。
原田さん:「商品がお店に並んでいて『これは自分たちが汗かいて送った商品だ』と見つけた時に、世の中のためになっているなあという感覚はあります。ムロオのトラックは結構どこでも見かけるので、親しみがあったんですよ。」
また、自衛隊出身の社員・松江さんは自分の仕事についてこう語ります。
松江さん:「常に頭と体を使うので慣れない内は大変なんですけど、慣れたら楽しいです。ドライバーになって色々なルートを覚えて、オールマイティに動ける人間になりたいです。」
2017年、Amazonの当日配送をクロネコヤマトが辞退し大きなニュースになりました。それまで値下げ一辺倒だった物流価格が一転、値上げそして適正化へと向かう契機となりました。
山下社長:「物流の仕事って無くならないと思うんですよね。たとえAmazon、ITシステムが進んでも『モノを消費者に届ける』点は変わらない。」
それを転機に、商品を送ってもらう側と送る側の立場が大きく変化しようとしています。状況が移り変わる中、ムロオの梅本人事部長は、遠くない将来、物流業界はもっと人気の仕事になると希望を語ります。
梅本さん:「近い将来、物流が人気業種になればいいなと思います。『物流がなくてはならない』と…人気業種に引き上げたいですね。」
なお、ムロオでは全国80の拠点で地元採用を行っているため、地域に根付いて働くことができるといいます。
広島カキの全国輸送に始まり、今や国内有数の食品物流企業となった株式会社ムロオ。一人ひとりの社員が日々プロフェッショナルを自負して仕事に臨んでいます。社員にプロフェッショナルの仕事について一言ずつ聞きました。
「私にとってプロフェッショナルな仕事とは、『当たり前のことをきちんとやる』です。」
「自分から進んでやることです。」
「落ち着いて正確に仕事ができること。」
「日々の積み重ねです。」
「人を幸せにすること。」
最後に山下社長に伺いました。これからペンギントラック、ムロオの行く先とは?
山下社長:「我々には40年以上やってきた先行者の利があるので、それを活かしてさらに大きくこれから発展できるだろうなという予感がありますね。やはり、それぞれの拠点をしっかり守っていく。一国一城の主のような、そういう人間が出てくればなあと思っていますね。」