会社名 | 三葉電機工業株式会社 |
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代表者 | 忍田 武人 社長 |
所在地 | 福岡市博多区東那珂1丁目15番71 |
事業内容 | 受電盤、分電盤の製造、設計 ソフトウェアの設計、開発 |
従業員 | 112名 |
公式サイト | mitsuba-net.co.jp |
大分県日出町のハーモニーランドで特に人気を集めているパレードを、ひときわ華やかに演出するLEDで彩られた昇降装置。このスクリーンの制御をコントロールしているのが電気のエキスパート集団・三葉電機工業です。60年間社会インフラを支えてきた仕事の最前線に迫ります。
三葉電機工業株式会社は、福岡市博多区に本社を置くものづくり企業です。製造しているのは、受電盤や分電盤といった電気を司る機器です。発電所で作られた電気は、変電所などを経由して工場やオフィス、一般家庭へ届けられます。その時に、大きな電力を一般消費者向けの大きさに調整するのが、三葉電機が作っている受電盤や分電盤の役割です。
その導入先は例えば、教育機関では九州大学や九州産業大学、また商業施設では、アクロス福岡やリバーウォーク北九州、公共施設では、福岡第一合同庁舎や地下鉄別府駅など、福岡市の公共事業の配電盤シェアは70%という、人々の身近な施設を三葉電機の製品が支えています。
福岡市箱崎の物流倉庫。水産加工品を保管しているこの建物は、三葉電機の受電盤の働きによって冷蔵倉庫の温度が一定に保たれています。取材したこの日は、およそ20年前に導入した部品の改修工事が行われていました。
「高電圧、危険」の文字。建物の電気を止めて安全を確認してから作業に入ります。20年前に先輩が取り付けた数百点もの部品を1つ1つ交換していきます。このように60年間、電気工事の安全性も連綿と受け継がれています。
三葉電機では、社員の半数近くが技術資格を持っています。公共性の高い事業というだけあり、そこに携わる社員のスキルアップにも積極的に取り組んでいます。
山下さん:「こういう冷蔵庫や家電もそうですけど、電気がないと何も動かない。ビルや駅も元がないと隅っこまで電気は使えない。それこそ自分がやっている仕事は、建物の大元になるのではないかと思います。」
三葉電機が60年もの長きに渡ってこの福岡の地で選ばれ続けている理由の1つに、自社で工場を保有していることがあります。既製品を大量生産するのではなく、お客さんごとに微妙に異なる仕様にも対応しながら受電盤や分電盤を一つひとつ製造してきました。
鈴木工場長:「もちろん1社1社、1品1品違います。穴あけ加工も一つ一つの商品によって違う。我々は既成品メーカーではないので。既成品だと同じラインで流せばいいけど、扉の厚みも幅も違ってくるので当然バラバラ。標準がないです。」
三葉電機の歴史をたどると、その始まりは昭和33年までさかのぼります。創業者、忍田楢藏氏が「ナイフスイッチ」という、ブレーカーの先駆けとなる製品の製造から事業をスタートさせました。
その後、1960年代のレジャーブームの後押しを受け、ボウリング場やゴルフ場建設など大型案件が増え、その後さらに、工場や官公庁、大学などの実績を重ねてきました。
そして今、長年培った技術や経験を元に、工場の生産ラインの自動化いわゆる「ファクトリーオートメーション」や、ソフトウェアの設計・開発といったシステム分野へと事業の幅を広げています。三葉電機の現社長・忍田武人社長に同社の強みを聞きました。
忍田社長:「三葉電機には特色と強みがきっちりあるので、その部分を順調に伸ばしていくことと、新しい技術、IoTの取り込みやソフト分野も今、一生懸命やっているので。強みの分野から踏み外すことなく、新しい分野を伸ばしていきたいなと思っています。」
大分県日出町にある「ハーモニーランド」も、三葉電機の取引先の一社です。子供に大人気のパレードパラレルに華を添えるのが、LED映像で彩られた昇降装置です。その動きを制御しているのが、三葉電機きってのシステムエンジニア・三輪さんです。
この昇降装置は上部に傾斜センサーが付いていて、ショーの進行に合わせてバランスを保ちながら上昇、下降を繰り返しています。元々、他社メーカーが納入した製品ですが、より安全に運用したいとハーモニーランドから相談があったといいます。
当初は1つのセンサーでしたが、円形の4つの方向にそれぞれセンサーを追加することで、安定的に上下動できるよう改善を行うのが、三葉電機の三輪さんです。ハーモニーランドを運営するサンリオエンターテイメントの担当者・後藤さんは三輪さんをこう語ります。
後藤さん:「安全性などに気を使ってもらっているので満足しています。頼れる存在ですね。そういう理由で、三葉電機さん、三輪さんを選んでいます。」
三輪さん:「お互いに信頼関係が成り立っているので、それを裏切らないようにやらなくてはとプレッシャーもあります。だけどそういう信頼関係をハーモニーランドさんに限らず色んなお客さんと仕事を通して築けたらと思いますね。」
『会社の成長は社員と共に』。これが三葉電機の考えです。秋の取材日、福岡市のレベルファイブスタジアムで開かれたのは、アビスパ福岡のホームゲーム。その名も「三葉電機工業DAY」。社員やその家族のために開いたイベントです。
忍田社長:「60周年のお祝いと、家族慰安会という主旨で家族の方々を連れてきてもらってみんなで楽しもうと。三葉電機をよく知ってもらうことが一番の目的です。私も子供のころは父が三葉電機にいました。その時も野球大会に参加し、非常に楽しかった思い出があります。そうしたことから、私も積極的に色んなイベントをやっています。」
三葉電機の歴代のアルバムを開くと社員旅行の写真が多く目に止まります。そこには、60年間社員を大切にしてきた同社の社風が感じられます。取締役を務める中村さんは、この『家族を大切にする社風』についてこう語ります。
中村さん:「この32年間を振り返ってみると色んな人たちがいましたが、最終的にはやはり『三葉LOVE』という想いが強い人たちが多いんじゃないかなと思います。会社の礎を築いた大先輩方にも感謝しているし、取引業者さんや三葉のユーザーさんなど、そういった方々に支えられてこの60年という会社の大きな節目を迎えることができたと思います。」
>最後に改めて社員さんに三葉電機での働きがいを伺いました。
秦さん:「ここにいる先輩たちにはめちゃくちゃ感謝しています。プライベートなことでも相談に乗ってくれる人がいたり…。商業施設などに関われる仕事をしていて、世の中の役に立っている仕事だなとやっぱり思いますね。この職業に出会えてよかったなあと。」
馬場さん:「人間関係が一番大事だと思います。相談し合える仲間がいるのが大きいのかなと。自分が三葉電機で10年働き続けられたのは、会社の厳しさや優しさがあったから。時に怒られてヘコむこともあったけど、そのままにしないで最後まで見てくれて、そうして自分はここまで来ることができたと思います。」
お客様からありがとうと言われたい、社会の役に立ちたい、幸せな人生をおくりたい。社員とともに歩み続けた三葉電機は、平成30年、設立60周年を迎えます。この先も広がる、三葉電機の展望とは。忍田社長に伺いました。
忍田社長:「モノづくりの会社ですから『モノだけ作って終わり』だと思われるかもしれないが三葉電機は違います。三葉電機は何かあった時の対応やお客様からの要望など、そういう時に対応できるように地産地消の商品を持っている。そういうことから九州に絞ってやっているのは我々の強みの一つだと思いますね。電気を送ることを第一の使命とする会社ですが、それだけではない。今度は我々の電気によって『お客さんの工場やラインをどう動かすか』などそういったことを『こうやって行きましょう』『これがベストですよ』とこちらから提案していく。そうしてお客さんが喜ぶものを創っていきたいと思います。」