就職活動を始めると「就活の軸を決めることが大事だよ」と言われたことがあると思います。たしかに就活の軸は、良い企業と出会うために不可欠と言っても過言ではありません。
でも漠然と決めても何をしたらいいか分からないし、かといって具体的にすると「視野が狭い」と言われてしまう…正直どうしたらいいか分からない…。
自分の将来がかかっていると思うと難しいですよね。
今回は「就活の軸」について、見つけ方・決め方から面接での答え方も含め、解説していきます。
これでアナタも就活マスター!
そもそも「就活の軸」ってどんなものなのでしょうか?そのメリットと、面接官が見ているポイントも含めてご紹介していきます。
「就活の軸」とは、「理想の働き方の判断基準」のことです。
たとえば、「人と関わる仕事がしたい」「福利厚生が整っている会社がいい」「知名度はなくても好きなことができる会社がいい」などが挙げられます。
では、「就活の軸」を決めるとどんなメリットがあるのでしょうか?
「就活の軸」を決めることのメリットは大きく分けて2つあります。
スムーズに就活を進められるように確認しておきましょう。
中小企業庁によると、現存する企業はおよそ400万社。この中から手当たり次第に就活するとなると膨大な時間と労力がかかってしまいます。
行きたい企業を絞って選考を効率的に進めるために、自分はどんな基準で就職先を選ぶのかという判断基準、つまり「就活の軸」を決めておく必要があります。
「就活の軸は何ですか?」という質問は、エントリーシートや面接でも定番の質問です。「なぜ、この業界に就職しようと考えたのですか?」「将来どんなことをしてみたいですか?」という質問も就活の軸に関する質問と言えます。
あらかじめ就活の軸を決めると、就活のやり方に自信を持つことができ、説得力のある対応ができるようになります。
では、企業はなぜ「就活の軸」を質問するのでしょうか?企業がこの質問を通して何を知りたいのか、見られているポイントを2つ解説します。
企業が「就活の軸」を聞く理由は、就活生が自分の価値観を元に就活しているかを知りたいからです。
知っている企業や紹介された企業から選考を受け始めるのではなく、「自分が本当にしたい仕事はなにか」と、主体的に行動する姿勢は企業からの評価も高くなります。
きちんと自分の価値観と向き合い就活しているか、就活について真剣に考えているかを企業は見ているのです。
近年、新入社員の早期離職が問題となっています。その理由として最も多いのが、「企業と学生のミスマッチ」です。選考段階では見抜けなかったミスマッチが、入社し仕事をしていくにつれて浮き彫りになり、早期離職に繋がってしまうというものです。これは新入社員側にとってもまたはじめから就活をしなければなりませんし、企業側にとっても採用費や研修費といったお金もかかっている分、ダメージが大きいものです。
しかし、就活生がどのような仕事がしたくて企業を選んでいるのか、「就活の軸」が明確だとミスマッチは格段に減ります。学生と企業、どちらもWin-Winでいるために企業は「就活の軸」を聞くのです。
就活の軸がなぜ必要なのか、理解していただけたと思います。でも、いざ就活の軸を自分で考えるとなると、漠然と決めてしまってはいませんか?
ここからは、就活の軸の見つけ方・決め方のヒントをご紹介します。
就活をするにあたって、自己分析は避けては通れません。自分がどのような経験をしてきて今の性格が形成されたのか、今後どのように生きていくのか、といった自己分析は「就活の軸」を決める際に大変役に立ちます。自分の過去の傾向から、未来の道筋を考えることで、根拠がはっきりした就活の軸を定めることができるのです。
すべての仕事は誰かの役に立つことで成り立っています。その中で「誰の役に立ちたいのか」を突き詰めていくと、自分が何の仕事をしたいのかが明確になります。結果として「就活の軸」が明確になるのです。
どんな対象に影響を与えたいのかを明確にして面接で答えられると、説得力もありますし、社会的な視点で物事を見られる人材として、他の就活生との差別化も図ることができます。
仕事を通して「社会にどんな価値を提供したいのか」を考えることも重要です。「自分が得られるもの」だけでなく、「社会に与えられる影響」にも目を向けると、働く意味も分かってきます。それは些細なことでも構いません。きちんと考えることで就活の軸が定まるのです。
また、自分がどのような価値に共感するのかで「就活の軸」を決めてみるのも手です。経営理念や社長の言葉を調べてみましょう。
企業で働く価値には「中心価値/周辺価値」の2種類あります。
中心価値は仕事そのもの価値のこと。仕事の内容や、業務を通じて得られるやりがいなど、仕事から切り離せない価値が挙げられます。
一方で、周辺価値は仕事を取り巻く要素のこと。制度などの労働環境や誰と働くかなど、直接的には仕事内容に影響しない価値のことを指します。
ここでは「周辺価値」、つまり働き方で就活の軸を決める際のヒントをご紹介します。
働きたい環境とは、「実力主義か、年功序列か」「自宅から通える勤務地か、転勤があるか」「福利厚生は充実しているか」といったものです。
やりたい仕事や価値観がフィットしていても、働く環境に賛同できなければつらく感じてしまうこともあります。
「この人がいるから頑張れる」と感じた経験はありませんか?一緒にいるとモチベーションが上がる人と仕事ができるのは、それだけで仕事が楽しくなります。
一緒に働く人から受ける刺激や学びが多い会社に入社し、貢献したいという感情は就職先を選ぶ理由の1つとなります。誰とどのような仕事をしていきたいのか、一緒に働く社員さんを見て考えるのも手です。
しかし、要注意なのは、「一緒に働きたい人がいる会社ならどこでもいいの?」と思われかねないことです。企業の中心価値は理解したうえで、あくまでも副次的な魅力として伝えた方が企業にとっては響くかもしれません。
ここからは、具体的な「就活の軸」と、面接でどのように答えたらよいのかを見ていきます。
・人の喜ぶ顔が直接見られる仕事がしたい
・ものづくりの仕事がしたい
・自分の功績が世に残る仕事がしたい
・責任感を持って人を引っ張っていく仕事がしたい
・表舞台には立たなくてよいが、縁の下の力持ちの仕事がしたい
・日常になくてはならない仕事がしたい
・・・
上記の中から、「人の喜ぶ顔が直接見られる仕事がしたい」という就活の軸について、面接における回答の一例を見ていきましょう。
「私の就活の軸は、『人の喜ぶ顔が直接見られる仕事がしたい』です。御社では、実際にデパートに赴いて新商品の試食会をしていると知りました。自分の言葉で自社製品について語ることができ、それをエンドユーザーの反応を見ながら行うことができる点に惹かれています。自社製品が実際にどのように消費されているのかを目の当たりにし、また身近な声を聞くことができるのも御社の魅力の1つだと考えています。私は、人と関わることが好きなので、エンドユーザーが自社製品のファンになり、喜ぶ顔を見られることに仕事のやりがいを感じます。」
この例ではまず、就活の軸である「人の喜ぶ顔が直接見られる仕事がしたい」について語っています。その後は、その企業独自の取り組みと、自分の就活の軸について語っており、具体例もあることで説得力があります。
このように、就活の軸をもとに、選考を受けている企業にしか通じないパーソナルメッセージを込めるとより具体感が増し、あなたの熱意が伝わるのです。
・週休完全2日制・立場に関係なく意見を出し合える社風で働きたい
・10年後こうなっていたい先輩がいる
・新入社員であっても発言できる会議をしたい
・将来独立を考えているので、経営者の言葉を身近に感じられる職場がいい
・・・
上記の中から、「立場に関係なく意見を出し合える会社で働きたい」という就活の軸について、面接における回答の一例を見ていきましょう。
「私の就活の軸は、『立場に関係なく意見を出し合える会社で働きたい』です。御社のオープンオフィスに伺った際に、たとえ新入社員であっても上司の方に意見をしている場面を拝見しました。立場が違うことで発言できる内容に違いが出ることなく、全ての意見が『会社を良くする』という目的に向かっていたことに感銘を受けたことを覚えています。ぜひ私も会社を良くするために、一年目でも責任を持って貢献していきたいと考えています。」
この例でも、まず自分の就活の軸から、企業へのパーソナルメッセージへと繋がっています。社風に触れた、企業を知っているからこそ出る具体的な話ですが、志望企業をどこまで知っているのかを伝えられています。場面が思い出せるような具体例を伝えることができると、あなたの印象は企業に強く残るでしょう。
「就活の軸」とは、企業が知りたいことの1つでもありますが、あなた自身が就活を進めやすくなるカギでもあります。一度真剣に向き合って「就活の軸」を決めてみてはいかがでしょうか?