正式名称はTest of English for International Communicationといい、英語コミュニケーション能力を公平公正に評価する試験のことです。なお、TOEICテストの総称を「TOEIC program」といいます。。
TOEICは、「合否ではなくスコアで評価する」、「グローバルスタンダートとして世界約160カ国で実施されている」、「実際のコミュニケーション能力を評価する」という特徴があります。つまり、客観的に英語力を判断できる指標として最適というわけです。
なお、一般的に就活で判断基準となるTOEICは、全部で5つあるテストのうち、TOEIC Listening & Reading Testのことを指します。
引用:http://www.iibc-global.org/toeic/toeic_program.html
TOEIC Listening & Reading Testは、英語力のうち「聞く能力」と「読む能力」を試すものです。
試験時間はそれぞれ、リスニング約45分・100問、リーディング75分・100問の合計約2時間。全部で200問の問題に答える、マークシート方式のテストです。
TOEICの満点は990点ですが、何点取れると就活に有利になるのでしょうか?
2013年「上場企業における英語活用実態調査(http://www.iibc-global.org/toeic/official_data/lr/katsuyo_2013.html)」によると、企業が社員に期待するスコアの平均は600点以上です。
では、スコア600点以上とは、どの程度のコミュニケーションレベルを指すのしょうか?
一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会が公表している「レベル別評価の一覧表(http://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/guide04/guide04_02/score_descriptor.html)」によると、スコア600点とは「ゆっくり話してもらえれば日常会話を円滑に行うことのできるレベル」となっています。ビジネスでは難しいけれど、日常会話レベルでは問題ないレベルです。
「上場企業における英語活用実態調査」によると、グローバルなビジネス展開が期待される部門での必要なTOEICスコアは、700点以上であることもわかります。
「TOEICとコミュニケーション能力レベルとの相関表(http://www.iibc-global.org/library/default/toeic/official_data/lr/pdf/proficiency.pdf)」によると、TOEICスコア730点はレベルB:「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている」に当たります。日常会話よりもさらに高度なスキルが要求されるビジネス面でも、大きな支障なく対応できるレベルが700点だといえます。
それでは次に、英語が必要とされることの多い業種・職種別の求められるスコアを見ていきましょう。
◆TOEICスコア目安:500点~
旅行業界の仕事には、旅行プランの企画・立案をする企画職や、旅行プランを店頭で案内・販売する営業職、観光地を案内する添乗員といったものがあります。
そもそも海外や外国人とのやり取りが多い業界ですが、外国人観光客の増加や2020年の東京オリンピックが控えていることで、英語を話せる人材の重要性が増してきています。英語力があることが、やりたい仕事に直結しやすい業界です。
◆TOEICスコア目安:700点~
メーカーの海外営業では、かなりレベルの高い英語力が求められます。海外で自社製品のアピールをしたり、英語で会議に参加したりと、英語を使って交渉する場面がたくさんあります。日本語でも議論や交渉は難しいものですが、言葉や文化の違う人たちとなると、さらに難易度が上がります。
◆TOEICスコア目安:500点~
HTMLやCSSをはじめ、システム開発に使う言語はすべて英語でコマンドを入力していきます。コードさえ覚えてしまえば、英語がわからなくても問題ありませんが、オープンのプラットフォームなどを利用する場合には、読み書きくらいはできたほうが仕事が進めやすいです。また、最新技術の情報などは海外発信のものが多いので、英語がわかると情報のキャッチアップが早くなります。
◆TOEICスコア目安:600点~
企業の課題を解決するために、専門的なアドバイスを行う仕事です。多様な業種・業界に合わせた専門知識が必要とされます。
外資系企業が多い、英語の文献を読む必要があるといった理由から、英語力があることは有利になります。しかしそれ以上に、課題を引き出す傾聴力や論理的な思考、課題解決のために自分のことのように努力できることが重要になります。
英語力があることは就職活動において有利にはなりますが、「英語ができるだけ」では武器になりません。
英語ができるだけで志望企業に就職できるなら、海外留学経験があったり、毎日机に向かってひたすら英語を勉強していた人の方が強いはずです。しかし、そんな特殊な経歴がなくても、志望企業に自分の強みを伝える方法はあります。
英語ができるというスキル自体をアピールするのもいいですが、上には上がいるものです。その中で英語ができますとアピールしても、強みとしてアピールするには、少し弱いかもしれません。
では、どこをアピールすべきかというと、「英語力を身に付けるためにこれだけの努力をした」という過程を伝えるのです。
努力できる素質があるとアピールすることで、「英語ができる学生のうちの一人」から、「目標に向かって努力ができ、なおかつ英語のスキルもある人材」へと価値が上がります。
英語を勉強しようと思い立った動機や、努力の方法、モチベーションの保ち方など、アピールできることは、たくさんあります。英語に自信があるライバルに差をつけるには、英語ができるという事実ではなく、そのプロセスに着目すべきなのです。
英語が得意でなくても、、「努力ができる人材」アピールはできます。自慢できること、学生時代に打ち込んだことはもちろん、趣味でも構いません。
特別な経験がなくても、”どう感じ”、”どう行動したのか”を突き詰めて分析することで、自分だけのオリジナルストーリーを作ることができます。
当たり前のことですが、企業が求める人材は、企業ごとに異なります。
あなたの第一志望の企業には、英語力が求められていますか?
英語が得意というのは強みになりますが、英語力を重視していない企業でそればかりをアピールしても、面接官には響きません。それよりも、企業の求めるスキルや価値観に合った人材であることを伝えた方が、確実に上手くいくでしょう。
企業研究をした上で、求める人物像に「英語力がある」ことがわかったとしても、英語だけをアピールするのは得策ではありません。英語はあくまでも、ツール(道具)でしかないからです。
最近はアルバイト先に留学生がいて、一緒に働いた経験のある人も多いのではないでしょうか?あなたにとっては日常のアルバイトでも、文化的背景の違う人同士が一緒に働いているということを、就活に沿って分析し直してみるとあなたの強みをアピールできるものとなります。
また、繰り返しになりますが、ただの事実だけでは強みにはなりません。
アピールするのであれば、以下のような形で伝えると、より効果的です。
「アルバイト先で留学生と交流する機会がありましたが、そこで学んだことは文化的背景が違う人同士でコミュニケーションをするには、微妙な言葉のニュアンスが重要だということです。この学びを活かして、貴社が全世界に展開している拠点のハブとなるような活躍がしたいと考えています。」
単に英語が話せることではなく、英語を使って何ができるのかを伝えることで、企業側も入社後のイメージや活躍してくれそうな場面が、思い浮かべやすくなります。
最後に、面接官の印象に残る英語力アピールのコツをお伝えします。
就職活動のゴールは入社ではなく、入社してからのあなたの活躍ぶりが評価されることです。内定や入社することにのみこだわって就職活動をしていることは、、企業側に見透かされてしまうものです。
英語のスキルをあなたの強みとして打ち出して就職活動するには、入社後のビジョンも合わせて持っておくといいでしょう。すなわち、あなたの自慢である英語を使ってどんな仕事がしたいのかをアピールするのです。それが志望企業のメリットと合致していれば、企業は確実にあなたが欲しくなるはずです。
可能ならば英語を武器にした将来像を立てておきましょう。
5年後10年後のあなたを想像し、「こういう仕事がしたい。自分は英語をここまで身につけられるほどの努力ができる人材なんだから必ず達成しますよ」と自分の強みを具体的に伝えることがポイントです。
この記事を通して一番伝えたいのは、英語力をアピールするには、英語を身に付けた背景やエピソードといった【過去】のことから、英語を使って将来どうしたいかという【未来】のことまで考える必要があるということ。英語に自信があるという【現在】のあなたの価値を上げるには、【過去】【現在】【未来】のストーリーを立ててアピールすることが重要です。
あなただけのストーリーを分析し直し、納得の行く就活をしましょう。