(前回の続き)
高橋:秋から冬にかけて多くの企業が1dayインターンシップの募集に躍起になる傾向があるが、私たちはこの風潮に問題意識を感じています。先生のご意見を聞かせてください。
眞鍋:インターンシップの元々の意味は「就業体験」です。そんな中、1dayで「インターンシップ」という言葉を使われていることに違和感がある。一日じゃ就業体験はできないと。
高橋:1dayインターンシップで出来るのは、見学かオリエンテーションくらいだと?
眞鍋:1dayインターンシップのプログラムを企業さんから色々と聞いているが、基本的に会社説明会の域を超えていない。「インターンシップ」という言い方をやめて頂きたいという思いがあります。
高橋:インターンシップとは、もっとリアリティのあるものであるべきだと?
眞鍋:最近、ある3年生と話をしていると「1dayインターンに行かなきゃいけない」という思い込みや焦りがあるのに気付きまいた。就活を未経験だからなんですが。
高橋:強迫観念みたいな?
眞鍋:はい。手当たり次第に応募をして、その中で決まった大阪かどこか遠方の会社1社だけ行くのに交通費を使って、インターンシップに行っている。1dayインターンシップの情報がバッと出てきて「これに行くことが就活なんだ」と誤解を生んでいる。そんな今の就活の流れは非常に問題だと思っています。
高橋:1dayインターンシップに参加することが「就活している」と多くの学生が思い込まされていると?
眞鍋:企業側は1dayインターンシップの後に「自己分析講座やりますよ」「面接講座やりますよ」などと言いながら学生をどんどん囲い込んでいく。学生に「ここに乗らなきゃ就活出来ない」と思い込ませているのは企業側も反省すべきところだと思います。就職支援の企業たちもやり方を変えてもらわないといけないと。学生も選択眼を持たなければいけないと思います。
高橋:本来、学生と企業の出会いは、どうあるのがふさわしいのでしょうか??
眞鍋:地元の中小企業などに学生が日常的に触れ合う機会を定期的に設けるのが、最初のステップとして大事だと思います。地元にはこういう企業があり、社長がいて、どんな事業をして、どんな人材を求めているのかを最初の段階でイメージする時期が必要だと思います。
高橋:なるほど。
眞鍋:その次は、やはり就業体験です。できれば1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、場合によっては半年とか、長い方がいいと思います。日常を体験した期間があり、その後に就活があるという流れを作っていく必要があると思います。
高橋:それは学生一人ひとりの意識次第では個人的には起こせる動きですよね?まず地域企業と交流し、中長期的な企業での就労体験をした上で、見定めた企業を受験していくことは、一人ひとりの学生のレベルだったらできる?
眞鍋:今すぐできます。実際やっている学生は少しずつ出てきています。
高橋:最後に「はたらくTV」の学生へ向けたメッセージを頂ければと思います。
眞鍋:学生の皆さんは就職活動を始めるにあたって、悩みや葛藤、分からないことがたくさんあると思います。合同企業説明会で説明することは確かに重要だが、それはその企業の日常ではないことがよくあります。ですので、自分の目で確かめること、出来れば少し時間をかけて体験をすること。そういう機会を学生自身で作っていくのが重要だと思います。頑張ってください。