「就職活動前にインターンを経験しておいたほうがいい」
そう言われたことのある学生も多いと思います。
現在では、学校や企業も学生がインターンに参加することを推奨しています。ではインターンを経験すると、どんな良いことがあるのでしょうか?
インターンにはさまざまな種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。種類別にどんな特徴があるのかについても詳しくまとめましたので、今後どんなインターンに参加するか決める際の参考にどうぞ!
そもそもインターンとはどのような目的で行われているのかご存知ですか?
実はインターンは、学生だけでなく企業や学生にとっても有意義なプログラムなんです。
インターンはインターンシップの略であり、簡単にいうと「就業体験」です。社会人と同じように、会社に出社し、一定期間職場体験を行うことをインターンシップといいます。
しかし、学生にとって仕事を経験できる場はインターンシップだけではありません。
アルバイト・ボランティアとの違いや、学校や企業がインターンを重視する理由について見ていきましょう。
インターンと、アルバイト・ボランティアとの違いは何でしょうか?
アルバイトとボランティアの語句の意味を調べてみると
アルバイト:本業や学業のかたわら、収入を得るための仕事をすること(デジタル大辞泉より)
ボランティア:自主的に社会事業などに参加し、無償の奉仕活動をすること(デジタル大辞泉より)
上記のようになります。
簡単にまとめると、アルバイトの目的は「収入を得ること」、ボランティアの目的は「社会奉仕」となります。
一方でインターンシップは、有給型と無報酬型がありますので、収入や無償の奉仕が目的ではなさそうです。それでは何が違うのでしょうか?
インターンシップの目的は、業界や業務内容を知ることで、職業選択のヒントを得たり、自分の適正を判断できるようになることです。またインターン中に行う業務を通して、自分のスキルアップも期待できます。
学校がインターンを推奨する理由は、学生の社会理解に役立ててもらうためです。学校やアルバイトだけの生活では、年代の近い同じような価値観の人との関係がほとんどになってしまいがちです。それではいざ社会に出たときにギャップを感じてしまうことも少なくありません。
企業ではさまざまな年代の社会人の価値観に触れることができます。人間関係や考え方が広がるのと同時に、業務を遂行することで得られるスキルは、その後の就活にも有利に働くことが多くあります。
学生が就活をスムーズに進めるための準備として、学校はインターンへの参加を勧めているのです。
また、学校がインターンを推奨する目的はもう1つあります。それは、関係のある企業とご縁を温めるためです。
インターンを受けた学生が実際にその企業に採用されれば、今後その企業に後輩がOBOG訪問できる可能性が広がります。大学にはインターンを通して、企業との関係を温める目的もあります。
インターンは、いくつか決まりがあるものの、企業は高校生から大学4年生までのどの学年でも受け入れることができます。これにより、企業側としては早期に優秀な学生とコンタクトが取れるというメリットがあります。
就活開始より先に縁を作っておき、優秀な学生が就活の時期になったときに声をかけるということもあるようです。
近年、新入社員の早期離職が社会問題となっています。新入社員の早期離職が起こる原因は、「こんなはずじゃなかった」という学生と企業のミスマッチが多くを占めています。
たった数回の面接では、企業と学生がお互いをよく理解し合うことは難しいものです。
しかし、インターンに参加し、共に業務を行うことで学生と企業の相互理解が深まります。学生側は、業界や企業への理解を実体験を通して深め、企業側は学生の特性や適性を見ることができます。
それだけでなく、学生を受け入れることで社内に活気が生まれたり、「インターンを受け入れている」という事実自体が企業のプロモーションになることもあります。
インターンシップには実施期間・企業規模・プログラム内容によって、さまざまな種類があります。
それぞれにどんなメリット・デメリットがあるのか、見ていきましょう。
期間は、2日から3週間程度です。中には1Dayインターンといって会社説明会のようなインターンもあるようです。
目的としては「短期間で会社の全体のイメージを掴んでもらう」ことがあげられます。
短期・中期インターンのメリットは、ホームページではわからない企業の雰囲気を肌で感じることができることです。実際に会社に赴き、社員と触れ合うことで企業を知ることができます。
また、参加する学生の人数も多いため、学生同士の交流を図ることも期待できます。
一方でデメリットは、短期がゆえ実務とは異なった、ワークのような課題を設定されることも多く、実務を肌で感じることはできないかもしれません。
期間は3ヶ月~半年ほどのものが多く、期間を定めず、1年単位で行われることもあるようです。
目的としては、「実務を通して事業理解をしてもらう」ことがあげられます。はじめは補助的な業務からではありますが、長期ですのでやる気や能力によっては社員と同等の裁量を与えられることもあるようです。
長期インターンのメリットは、
3ヶ月~半年という長期での実務を通して、企業や業界に対して生きた知識を学ぶことができることです。また、業務自体のスキルアップのみならず社会人としての考え方を学ぶことができます。中小企業やベンチャー企業の場合は経営者とも話すことができ、他の学生とは違った経験をすることができます。
一方でデメリットは、
長期に渡るため時間の使い方が難しいということがあげられます。本業である学業に影響が出ないように注意する必要があります。
また長期インターンでは、お給料をもらえるインターンもあります。実務経験を積んで社員と同等の能力を備えることができるインターンでは、有給型となることが多いようです。
大手ならではの練られたインターンシップコンテンツを用意する企業もあります。
博報堂では1週間程度の短期インターンで、はじめの3日間は社内で講義とワークショップ形式、その後は場所を変えて2泊3日の合宿形式で博報堂の理念について学ぶという形を取っています。
また、三井住友海上火災保険では、グループワークを中心とした最大15日間のプログラムとなっており、現役社員との交流を通した生の仕事感に触れることができます。
練られたコンテンツを体験することによって得られるスキルは、その後の就活において有利に働くでしょう。
倍率が高く、そもそもインターンシップに参加できないことがあります。
また、大手企業のインターンを受けた事実が就活に有利に働くと思ってはいけません。
重要なのはどこのインターンに参加したのかではなく、インターンを通して何を学んでどう成長したのかという点です。大手企業のインターンに参加することをゴールとしていると、何も学びを得られないという結果に終わってしまうかもしれません。
たとえインターン生であっても裁量が大きく、責任ある仕事を任せてもらえることも多いようです。言われたことをこなすだけではなく、「どうすればできるのか?」が求められ、あなたのアイデアがそのまま採用されることもあります。
任せてもらえる業務の範囲が広い分、責任感はありますが、ベンチャー企業のインターンを通して得られるものは大きいでしょう。
また、経営者と距離が近いというのもメリットです。社長など企業のトップと話す機会も多くあります。将来的に起業や独立を考えている学生にとっては、生の声を聞くことができる貴重なチャンスです。
自由な仕事が多い分、スケジュール通りに進まないこともあります。先を見通したプログラム型のインターンシップがしたい学生にとってこれはデメリットとなりそうです。
また、ベンチャー企業は社員の数も多くなく、教育体制も整っていないことが多いです。「次は何をすればいいですか?」と指示待ちをしていたら、得られる学びも薄いものとなります。積極的に行動することが求められます。
志望企業が定まっている学生は、インターンに参加することで採用への道を掴むことができるかもしれません。また、実際にどんな業務をしているのか体験することによって、志望動機がより深まります。顔を覚えてもらうことが、就活時に有利に働くこともあるようです。
志望企業だけに詳しくなり、他の業界や企業の研究が乏しくなって、結果的に就職先の幅を狭めてしまう可能性もあります。さまざまな企業を見たうえで就職先を決めた方がいいかもしれません。
また、優秀なインターン生を学生が囲い込むこともあり、他の企業の選考を受けることに対して圧力をかけてくる事例も報告されています。
これは、1Dayインターンなどの短期間で行われるインターンで、企業の説明会を兼ねている場合もあります。
会社全体を短期間で要所のみ知ることができるので、効率がよく手軽に始めやすいインターンです。また、期間がかからないので多数の企業の体験型インターンを受けることができます。
短期間がゆえ、実務に関わることはできないかもしれません。説明のみ、ディスカッションのみで終わってしまうことも多いようです。実際の会社の雰囲気や働きぶりまでを知りたいと思う学生には不向きと言えます。
これは、企業から「新商品を売り出すための新しいプロモーション方法は?」「ユニバーサルデザインを視野に入れた新商品を開発せよ!」などの課題が出され、それをインターン生同士で協力しながらミッションを遂行していく形のインターンです。採用選考の一環として行われている可能性もあるようです。
インターン生同士で協力してミッションを遂行することで、課題解決能力が上がります。決められた時間内に課題の解決方法をまとめる能力は社会人になっても重要視されるものです。一度経験しておけば、就活時のグループディスカッションなどでも能力を発揮することができるでしょう。
ワークショップで出される課題によっては、実務とは程遠く、企業理解には繋がらないかもしれません。また、インターン生同士で協力することにより学生同士の相互理解は深まりますが、社員とコミュニケーションする機会は少ない可能性もあります。
インターンで良い成績を出せたから入社を決めたとしても、いざ入社するとイメージが違ったということが起りえるのもワークショップ型の特徴と言えます。
紹介してきたように、インターンにはたくさんの種類があります。それぞれに良い部分・悪い部分があるため、はっきりとした正解はありません。
志望企業のインターンに参加してみるのもいいですし、今まで興味がなかった業界に思い切って飛び込んでみるのもいいかもしれません。就業体験ができるのは、今のうちだけです。
最後に、インターンを考えているあなたに伝えたいことがあります。
社会人になると「チャンスは不平等」です。インターン期間中はあなたも社会人として扱われます。積極的に動いてチャンスを掴み取りましょう。