「就職するなら名前の知られた企業でないと意味がない」
「上場していない企業なんてありえない」
でも、自分らしい就活ができている実感がない・・・本当にこれでいいのかな?
そう感じているあなた
もしかしたら「大手病」にかかっているのかもしれません。
人生において大きなターニングポイントとなる就活。
「大手病」にかかっていると大切なチャンスを逃してしまう可能性があります。
「大手病」にかかると、就活において大手企業にしか目が向かなくなります。名前を知っているBtoCの企業にばかりエントリーし、その他の中小企業が視野に入らなくなってしまうのです。
就活が始まると、名前に聞き覚えのある企業からエントリーをしていく。多くの学生の共通していえる傾向です。それまで「どんな企業があるのか」を知る機会が少ない日本では、むしろ当然のことだと言えます。
つまり、大手企業の選考を受けること自体が「大手病」なのではなく、大手企業にしか目が行かず、他の中小企業が見えていない状態が危険な「大手病」なのです。
大手の有名企業は就職倍率が200~500倍を超える企業も含まれます。つまり、かなり狭き門です。
そのような狭き門だけを狙って就活をしていると、卒業間際になって就職先が決まっていないということも十分起こり得ます。
「大手企業に就職すること」だけを目的にしてしまうと、入社してから「思っていた業務内容と違う」とギャップを感じてしまうかもしれません。仕事に対するやりがいを見つけられず、せっかく入社した大手企業を3年以内で早期退職という事例も増えています。
これは、就活時に「5年後、10年後自分がどうなっていたいか」と将来の自分を想像できていなかったことが原因です。数カ月先の「大手企業に内定をもらう」、ことだけを思い描くのではなく、「その会社に入ってどうなっていきたいか」まで考えていないと、早期離職に繋がります。
大手企業は分業化が進んでいるために、任せられる仕事の幅が固定されている傾向があります。「この仕事をしたくて入社したのにできない」というジレンマを感じるかもしれません。
一度入社してから気づいたとしても、どうにもなりません。新卒の就職活動よりも、転職活動の方がはるかにハードです。
入社してからギャップを感じる前に、「大手企業かどうか」という表面的な情報で企業を判断せず、「自分のやりたいことと合致しているかどうか」で企業選びをしましょう。
大手病にかかる人にはいくつか特徴があります。
大きく3つ挙げてみましたので、皆さんも自分が当てはまっていないかチェックしてみて下さい。
「自分はこんな大手企業から内定者をもらったんだぞ」と、企業の価値を自分に投影して自慢したい就活生は要注意です。「こんな仕事がしたい!」という具体的な業務内容や、将来像を考えずに、「親や友人が知っている大手企業の内定者」としての肩書にばかり目が行ってしまっている状況です。
「知らない名前の企業には行きたくない」「知らない企業に就職したら家族や友人からなんて思われるか…」と周りの目ばかり気にして、やりたいことに目が向いていない状態で就活を始めると、大手病になってしまいます。
また、家族など近しい人が大手病になっている場合もあります。知らない中小企業に就職していくことに不安を覚える家族から、「そんなところに就職して大丈夫なの?」と言われ、大手企業にしか目がいかなくなる事例があります。結局のところ、働くのは自分です。周りが言ったとおりに就活をして失敗しても、誰もその責任は取ってくれません。
無名の企業に行ったら笑われるかもしれないという不安で、大手病にかかってしまう就活生は、企業研究・業界研究が足りていません。
就活生がつい勘違いしてしまうところではありますが、有名な企業・名前が知られている企業=優良企業一般に知られていない企業=大したことない、ということはありません。BtoBで一般の消費者の目に触れる機会が少ないだけの優良企業もいっぱいありますし、宣伝などで名前は広く知られていても赤字経営の企業もあります。「有名だから良い企業」「知らない企業はブラック企業」と決めつけていては、自分のやりたいことができる企業には就職はできません。
自己分析でやりたいことを明確にし、業界研究をしてやりたいことができる企業を調べてみることをおすすめします。就活は「企業ありき」ではなく、「自分のやりたいことありき」で考えてみましょう。
これまで大手病のリスクと、大手病になりやすい人の特徴について見てきました。しかし、就活を始めたばかりの就活生は誰しも大手病になってしまう可能性があります。
もし大手病になってしまったらどうしたらいいのでしょうか?
ここからは大手病を克服する方法を見ていきましょう。
知っている企業が少ないと大手病にかかってしまいがちです。大手病から抜け出すには、企業・業界を知ることから始めましょう。
経済産業省中小企業庁の調査によると、日本に存在する企業はおよそ381万社、そのうち大手企業はたった1.1万社しかありません。
パーセンテージで表すと、大企業が0.3%なのに対し中小企業はなんと99.7%。日本に存在する企業のほとんどが中小企業だとわかります。
たった0.3%の中から自分のやりたいことを実現できる企業を探すのは難しいものです。
中小企業を調べもせずに「ダメ」と決めつけてしまっては、「自分に合った企業を見つける」どころか「企業に自分を合わせる」ことになりかねません。
世の中にどんな企業がいくつあるのか?自分のやりたい仕事ができる業界・業種はどういうものなのか?まずは調べて知ることから始めてみましょう。
就職活動においては、自己分析が最も重要です。今までの経験から、考え方や価値観がどのように形成されてきたのか客観的に捉えることで、「自分が将来どうなりたいのか」が浮かんできます。
「やりたいこと」が明確になったら、「やるべきこと」も見えてきます。すると「大企業だから」という理由で就活を進めることに意味がなくなってくるはずです。
そのなかで、大企業でしかできない仕事が自分のやりたいことだと気づくこともあるかと思います。それも大きな自己分析の成果です。
「◯◯な仕事は名のある大企業でしかできない仕事だから、自分はこれがしたい」と確信をもって就活に臨めるようになります。
そうしたら、面接での受け答えも的を得た、面接官の心に響くアピールができることは間違いありません。
大手企業を志望する理由として、「優良企業である証拠だから」という意見もあがるかと思います。確かに、大手企業は福利厚生もしっかり行き届いており、長年続く分だけ安心感がある印象がありますよね。
しかし、「優良企業」に入ることが目的なら、実は企業の規模は関係ありません。ここでは、優良な中小企業の見つけ方を紹介します。
何をもって安定とするかは個人によって異なりますが、社員定着率が高い会社は社員が会社を辞めずに働き続けていられる会社なので、安定した会社といえるでしょう。
HPや採用サイトに社員定着率や平均勤続年数が書かれていない会社は、社員の平均年齢を見てみましょう。企業が設立してからの年数に対してあまりにも社員の平均年齢が若い会社は、なんらかの理由で社員が定着していないと推測できます。
社員数に対して新卒の募集人数が多い会社は、新入社員が辞めることを想定して募集している場合があります。内定辞退や入社後の早期離職が多いために、大量に内定を出す企業も存在します。
内定辞退や早期離職が多い企業は、何かしら問題があることが想像されます。
大抵採用ページに載っている先輩社員は、その部門で第一線で活躍している社員です。就活中に、「この会社に入って、やりがいを感じられるのかな」と不安になったら、先輩社員の生の声を見てみましょう。仕事のやりがいに共感できる企業こそ、あなたにとっての優良企業なのです。
「OB・OG訪問」とは、興味のある業界や企業で働く学校の先輩を訪問することです。
OB・OG訪問はまさに生の声。実際の働く現場に自分が出向いて、会社の雰囲気を肌で感じることができます。
アポイントの取り付けなどを主体的に行う必要はありますが、社会人との連絡のやりとりを学ぶいい機会にもなります。少しでも興味のある業界・企業を見つけたら、まずは大学のキャリアセンターなどに相談してみましょう。
就職活動における選択肢の数は、知っている企業の数とほぼ同じです。ある意味、その選択肢が限られている状態が「大手病」だといえるでしょう。しかし、学生にとっては企業を知る機会が非常限られているのが現状です。幸せに働くためには、自分から企業の情報を集めにいかなければいけません。
そこで皆さんにおすすめしたいのが、企業のインターンシップに参加すること。
インターンシップには1~3日間のの短期インターンから、半年~1年にわたる長期インターンまで実にさまざまなものがあります。
まずは短期インターンに参加して、今まで知らなかった企業に飛び込んでみるのも一つの手です。
最後になりますが、「大手病」から抜け出すために最も重要なのは、「どの企業に行きたいかではなく、自分が何をしたいか」ということ。やりたい仕事から、行きたい企業を探しましょう。