毎年多く寄せられる就活生の悩み。そのトップに君臨するのが「エントリーシートが書けない」という相談です。
筆が止まる苦しみは誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
今回もESが書けない理由を紐解きながら、それぞれの解決策について考えていきたいと思います。
まず、エントリーシートが書けないと悩む学生の原因は大きく3つに分類できます。
①志望動機が思い浮かばない(志望度がそもそも低い)
②書けるネタが無い(と思い込んでいる)
③書き方が分からない
今回は前回の志望動機編に続き、「②書けるネタが無い(と思い込んでいる)」について解説します。
エントリーシートの形式は企業や大学によって様々ありますね。中でも高確率で出現する設問がご存じの通り、「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」という項目です。学生時代に頑張ったこと、達成したこと、成果など、すらすらと筆が進む人もいれば、何を書けばいいか分からない、と筆がピタッと止まってしまう人も多いのではないでしょうか。筆が止まる学生は口をそろえて「学生時代に特別なことをしていない・何も頑張ってない」と言います。本当にそうでしょうか。
何を書けばいいのかを考える上で、そもそもこの項目で採用担当者が何を知りたいのか、という視点から考察を深めていくことが重要です。筆者もいち企業の採用担当者として、沢山の学生を面接したり、ESを読んだりしてきました。その中で、的外れだなと感じる「ガクチカ」のパターンがあります。
例えば下記のようなパターン、
①「何をやってきたか」でPRしている
「学生時代に、海外留学、世界一周、全国自転車の旅、〇〇のリーダーやってました!」と、やってきた自慢になっているパターン。
②自分のPRしたいポイントが絞られていない
「素直で、決断力があって、行動力があるのが強みです」と、スーパーマンPRになっているパターン。
皆さんのエントリーシートを見直してみていかがですか?
極論を言うと、採用担当者はあなたが「何をやってきたか」は全く興味ありません。
企業側が知りたいのは、その活動を通じて、「あなたが何を考え(感じ)、どんな壁にぶつかり、乗り越え、何を得たのか(成長・変化・教訓等)」というプロセスです。
つまり、何か特別な活動や奇抜な取り組みをしている必要はありません。
例えるなら、登る山は同じでも、登り方のルートは何通りもあるように、大変だと感じるポイント、登りきるために工夫したこと、登るペースなど、登るプロセスに「あなたらしさ」が表れる。
そのあなたの個性をなんとかESから紐解きたいと考えているのです。
採用担当者は、この人がうちの会社に入ったらどんな活躍をしてくれるかな?うちの社風に合うかな?という視点でESを読みます。
そこでポイントとなるキーワードは「再現性」です。
学生は就職して、サークル活動や飲食でのアルバイト経験と同じことをする訳ではないのに、なぜ企業は学生時代の活動をESで尋ねるのでしょうか?
それは、活動を通じて得た力は、また入社後に形は違えど仕事で発揮してくれると考えるからです。
例えばアルバイトを頑張ったという学生の例で考えてみましょう。
A君のESガクチカの例
「私はアルバイト先の飲食店で周りのスタッフが次々に辞める中、お店の改善点を発見して店長に進言し、一緒にスタッフの離職率がどうしたら下がるか会議を重ねて、最終的には離職率が〇%下がった経験があります。」
というエピソードから何を感じますか?一言も、「私は自分で課題意識を持って積極的に動ける人間です」書いていないのに、エピソードから、A君はうちの会社に入っても自分の頭でより良い方向に会社を良くしてくれそうだ、と筆者は感じます。
大学生の時に一回も挫折や壁にぶつかった経験、何か主体的にリーダーシップを発揮した経験が無いとなると、うちの会社に入って壁にぶつかったら、乗り越えられなくて辞められないだろうか?と不安になります。
よく、「体育会系の学生がいい」、という企業も多いですが、これも同じ原理だと思います。
厳しい環境を耐え抜いてきたなら、多少の困難があってもうちの会社で長く働いてもらえるだろう、という「乗り越える力の再現性」を見込んでいると言えます。
今回は「エントリーシートが書けないの3つの理由 ―ネタが無い編―」について解説しました。ESは何か特別なことを書いたり、自分を誇張して伝えるものではありません。
等身大のあなたで勝負して、企業とのマッチング度合いを確認する接点です。
あなたが積み上げてきた4年間の中には、必ずあなたをPRできる「思考プロセス・行動プロセス」があるはずです。
改めて4年間を振り返ってどんなエピソードをピックアップできるか、どんな力をアピールしようか、楽しんで探してほしいと思います。
そして、その活動のプロセスで、自分がアピールしたい力を表現できるエピソードをピックアップして、「〇〇の活動で得た力を御社でも再現できます」とあなたらしさが溢れたESを目指してほしいです。