学生時代に頑張ったことを面接でうまく伝えるには、「形容詞ではなくエピソードで語れ!」

「あなたが学生時代に頑張ったことはなんですか?」

就職面接の王道の質問がこれです。一次面接から最終面接までの間で、必ず一度は聞かれることでしょう。しかも、エントリーシートや履歴書で書いていても、面接で改めて直接聞かれることが多い質問です。

この質問で、「第一志望の企業は何を知りたいのか?」「何のためにこの質問をしているのか?」を理解した上で臨むことができれば、「学生時代に頑張ったこと」は何も怖くありません。

面接官がこの質問を通して知りたいこと、エピソードを組み立てるコツなど、例を挙げていきながら詳しく見ていきましょう。

面接官が「学生時代に頑張ったこと」を聞く理由とは?

企業とのマッチングを知る

なぜ企業は「学生時代に頑張ったこと」を聞くのでしょうか?

実は面接官はこの質問で、あなたの経験自体のレベルやスペックを知りたいわけではありません。「部長をやっていた部活が全国大会で優勝した」とか、「学生団体に所属し団体を取りまとめていた」とか、「留学した経験を生かして団体を立ち上げた」など、輝かしい経歴を知りたくて質問しているわけではないのです。

企業が採用で最も重要視している点は、「自社に合った考え方を持っている学生かどうか」です。

企業がこの質問で見るのは、

「あなたは、課題・問題に対してどのようにアプローチして解決する人なのか?」です。

課題・問題の捉え方、また、困ったときにどのように行動するかで、企業の風土に合っているか、今いる自社の社員と上手くやっていけそうかどうかを見たいのです。

自分の強み・人柄を見る

ここで大切なのは、「私の強みは、何に対してもポジティブなことです!」と主張するのではなく、あなたがした行動や事実をもとに伝えることです。

たとえば、「自分は天才です」と言うだけなら、誰にでもできます。しかし、「天才である」根拠を示せなければ、それは絵に描いた餅でしかありません。つまり、頑張ったことの”エピソード”を伝えることが、人柄の根拠になるのです。

分かりやすく伝えられるか

自分の体験を、自分の言葉で、ライブ感を持って伝えられるか。

あなたのことをまったく知らない面接官に対して、自分が経験したことを分かりやすく伝えられるかという力も見られています。

面接の場では、相手の持つ情報が0の状態で、あなたが一から話さなければいけません。

とはいっても、おもしろく伝える、キャッチーに伝えればいいというものではありません。頑張ったことを1から10まですべて話してしまうのではなく、あなたの強み・人柄を伝えられるように、ピックアップして話すことが大切です。

限られた面接時間の中で、端的に分かりやすく話す。営業にもプレゼンにも必要な能力を持った人材が企業は欲しいのです。

伝わりやすい話の組み立て方は?

では実際に、どのように話したらいいのでしょうか?

分かりやすく話すテクニックを見ていきましょう。

結論先行!概要を伝えよう

分かりやすく伝えるには、「分かりやすく伝える型」というものがあります。これに当てはめれば、一通り順序立てて話せるものです。これを「結論から先に話す」とか「起承転結で話す」と言います。

1.概要

【これについて話します】「学生時代に力を注いだことは、◯◯です。」と概要を説明します。

2.背景・始まり

【その時の状況説明】詳しい話に入る前に、当時の背景・状況を説明しておきます。

3.トラブル・イベント

【トラブル・イベント・課題・問題】起承転結でいうと「転」の部分。トラブルや課題が見つかったなど、話を盛り上げます。

4.取り組み(乗り越え方)

【あなたらしさの見せ場】イベントへの取り組み方・姿勢や、トラブルの乗り越え方・解決方法などを通して、得たものや学んだことを伝えます。

5.締め

【まとめ】「つまり」「だから」「最終的に」「最も伝えたいことは」など、あなたの経験を最後に分かりやすくまとめます。最後に、あなたの強みを念押しできればベストです。

具体的に語る

わかりやすく、人の記憶に残るように話すには、具体的に語ることが必要です。

エピソードを時系列に沿って詳しく話すのはもちろん、固有名詞や人名・地名を使うのもひとつの手です。

また、人は自分と共通点を持っている人に好意を持つ傾向があるといいます。

初対面の人と自己紹介をし合う時、出身地が同じなだけで少し親近感を持ちませんか?同じ中学校出身だとより話が弾む気がしませんか?

できる限り固有名詞を盛り込むことで、面接官との共通点が見つかる可能性がぐっと高まります。

ライバルと差をつける!「学生時代に力を注いだこと」はエピソードで語れ!

形容詞で語るな、エピソードで語れ

「私はポジティブな性格で、人からよく明るい人と言われます。」

「私は責任感が強く、リーダーシップのある人です。」

こう言われたら、あなたはそれを言った目の前の人が本当にそんな人だと信じられますか?

「そうかもしれない」とは思うでしょうが、どれも自称のことなので、この場だけで取り繕っているのかもしれないなと考えませんか?私なら、考えてしまいます。

「ポジティブな性格」「明るい人」「責任感が強い人」「リーダーシップがある」・・・これらはすべて曖昧な表現です。

どんな考え方だとポジティブなのか?どんな性格だと明るいといえるのか?

責任感が強い人ってどんな人?リーダーシップとは?

これらの質問には明確な答えはなく、人それぞれの考え方・捉え方に左右されます。しかもそれを自称しているだけでは、なんだか説得力がありません。

『形容詞で語るな、エピソードで語れ』とは、曖昧な表現を使って自己紹介するのではなく、事実やエピソードからあなたの人柄を伝えようということです。

「私は、ゼミ活動中にトラブルが起きた際、まずは落ち込んでいるメンバーみんな一人ひとりに声をかけていきました。同じ教室にいて誰も話さないというのが嫌だったんです。どうにかもう一度みんなに協力してほしくて、どんな些細なことでも全員に声をかけました。

それからことあるごとに声をかけることで、だんだんとメンバーの間でも会話が生まれていきました。その後は、トラブルが起きても自然と協力できるようになり、活動にも意欲的に取り組んでくれるようになりました。」

見ての通り、事実しか話していません。しかしこれを聞くと、「この人はポジティブな人だ」と感じませんか?そんなことは一言も言っていないのに、です。

あなたから「私はポジティブな人です。」と言うのではなく、あなたのエピソードを聞いた面接官に「あなたはポジティブな人なんだね。」と感じさせることが大切です。自称ではなく、他称にするのです。

【例文】実際にどうやって話せばいいの?

最後に、実際の例文を見ていきながら、形容詞からエピソードへの言い換えをしてみましょう。


・Aさんが伝えたいこと
:「私は責任感が強く、リーダーシップのある人です。」

「責任感が強い」「リーダーシップがある」というAさんの人柄をエピソードで伝えてみましょう。Aさんが学生時代に頑張ったことは、ゼミ活動です。

(概要)

私が学生時代に頑張ったことは、ゼミ活動です。その中でも大学2年生の時の、久留米の老舗パン屋キムラヤを取材したときのことです。

(背景)

私のゼミでは、社会調査を行い、報告書をまとめることがゴールでした。教授はほぼ口出しせず、学生の主体性に任せてくれていました。ですので一から計画を立て、誰に・いつ・どのような調査をするのか考えなければなりませんでした。

(トラブル)

そんな中、ゼミ生同士でコミュニケーションが取れておらず、何も進まない期間が1ヶ月ほど続きました。

(乗り越え方)

その中で私は「このままでは私たちの研究を期間内に終えることができない」と感じ、メンバーに声がけを頻繁に行いました。また、相談ミーティングの機会を作るなどの行動を起こし、プロジェクトが進むように働きかけました。

(締め)

こうしてメンバーみんなのモチベーションを高めることにより、プロジェクトを成功に導くことができました。

・Bくんが伝えたいこと:「私は人を支えるのが好きなサポータータイプです」

リーダーのように目立ちはしないものの、人を支えるのが好きな「サポータータイプ」のBくんが学生時代に頑張ったことは、軽音楽サークルでの文化祭ライブの運営です。

(概要)

私が学生時代に頑張ったことは、軽音楽サークルでの文化祭ライブ運営です。

(背景)

実家から40分かけて通学していることからサークルの幹部ではなかったのですが、1年生の歓迎会前から部室に通い、毎週の例会は3年間一度も欠席することはありませんでした。

(イベント)

特に印象的だった、大学の文化祭「あのく祭」のことをお話します。大学3年時にはサークル内でのあのく祭副リーダーとなり、リーダーとあのく祭ライブ成功に向けて取り組みました。前日までリーダーとともに作戦を練っていましたすが、いざ当日になるとリーダーはタイムスケジュール通りに回すことに手一杯の状態。次のバンドへの準備するように伝えたり、音響・照明担当に連絡をすることまで手が回っていないようでした。

(取り組み)

そこで、バンドがスムーズに演奏を始められるように、セットアップを整えることに注力しました。その結果、リーダーと力を合わせて無事にライブを終えることができました。終わってからは、先輩方から「去年は時間通りに進められず時間が押したのに、今年はすごい!」と言っていただき、リーダーやサークルのみんなと喜びました。

(締め)

この経験から学んだことは、自分がやれる仕事を見つけてそれのために動くことが大切だということです。自分の仕事ばかり一生懸命こなしているだけでは、全体が良くなるとは限りません。自分ができることがないかとアンテナを立て、見つけたら動くことが大切だと感じました。

上の例文を読んでみていかがでしょうか?「自分はこんな人」と言っていないのに、あなたが学生時代に頑張ったことと、あなたの人柄を端的に言い表しています。

少し工夫すれば、あなたの経験とあなたの人柄をより魅力的に面接官に伝えることができます。

ライバルに差をつけるために、この記事を武器にしてあなただけの「学生時代に頑張ったこと」を考えてみましょう!